2007-11.05 Mon勝手に映画批評19[映画]
Time[23:16] Comment[0] Trackback[0]
【ALWAYS 三丁目の夕日】 8点
この、イヤらしいほど“昭和”な雰囲気が、ベタベタなストーリーをどっかに吹きとばしちゃったような感じですね。29歳の僕が「懐かしい〜」なんて言ったら完全にウソつき呼ばわりされますけど、でもなんか「懐かしい〜」んです。昔、数年間住んでいた長屋での生活を思い出して、思わずそんな気持ちになっちゃいました。あの頃も地面はジャリ道やったなあ〜って感じで。
さっきも書いたように、ストーリーはベタもベタ。後半の部分、こっちが赤面しちゃいそうなくらいベタなシーンもありました。堀北真希が実家に帰るとことか、誰もが想像できてしまう展開。でもそのベタさが、純粋な「愛情」だったり「人とのふれあい」だったりをストレートに伝えられたんやろうなって思います。ベタやから大衆受けするけど、そのぶん映画としての残念度もちょっとあったりする感じ。
“お涙ちょうだい”的な映画って、けっこう毛嫌いする人もいるんですけど、その表現の上手さが重要ですよね。同じ「泣け、泣け〜!」っていう雰囲気がガンガン伝わる映画でも、シラ〜ってなる映画もあれば、ドボドボ泣いちゃう映画もある。それは、台詞や映像も含めた表現の上手さが重要なんじゃないですかね。例えば、いかにリアリティを保ち続けられる表現をしているか、とか。そのへんがこの映画に関してはなかなか上手かった。だから僕はこういう“お涙ちょうだい”的な映画でも感動したんでしょうね。ただ、後半の淳之介が戻ってくるシーンはダメ。ちょっと冷めちゃいましたね。あれは唯一ヘタだったシーンでした。
【パッチギ!】 7点
前半はどうなることかと思ったけど、後半に巻き返しました。あまり知られていない役者を使うことで、映画の世界がよりリアルなものになったと思います。ちょっとケンカのシーンが多すぎたところは気になったけど、若者の良い部分と悪い部分をバランス良く描いていて、なかなか気持ちよく観れました。カットのつなぎ方とか音声の拾い具合とか、台詞の内容とか、作品としての完成度が変に高すぎないところがけっこう好きな感じですね。
在日朝鮮人のことを描いた物語なんですが、終わってみて、何を伝えたかったのかが分かったようで、でもよく分からないという状況に陥ってしまいました。単純に「朝鮮人への差別反対!」なのか、「愛は国籍を超える」的なものなのか・・・。『イムジン河』はすごく良かったけど、すごく良かったで済んでしまう感じもあったりなかったり・・・。僕の感覚がまだ鈍いんでしょうか。
沢尻エリカって、ナチュラルメイクのときはなんでこんなにカワイイんでしょう?この映画でもバツグンに光ってました。なんか、今は女優としてもったいない状況になっちゃいましたね。顔とか演技とかがすばらしく良くても、性格とか態度とかで素材を生かしきれなくなったりするんでしょうかね。
【北極のナヌー】 5点
動物もののドキュメント映画としては、なかなか興味深い映像が多かったです。ただ、大きく残念なことがひとつ。それは、ナヌーのストーリーにこだわりすぎたのか、動物たちの映像をむりやりつなぎ合わせてまでストーリーを展開させていたこと。以前、同じく動物もので『ディープ・ブルー』という映画があったけど、あの映画は特にストーリーにはこだわっていなかった。だからこそ、映像にリアルさが感じられて、素晴らしい映画に仕上がっていたと思います。
でも、この『北極のナヌー』はストーリー展開にこだわってました。それはあくまでもナヌーを主人公にしようという興行戦略があったからじゃないでしょうか。子供たちが観やすくなり、グッズの売り上げなども期待できる状況にするためには、ストーリー上の主役が絶対に必要だったのでしょう。まぁ、それはそれで悪くはないんですが、映像のつなぎ方がちょっと・・いや、かなり乱暴でした。無理矢理なナレーションと、つなぎ合わせた映像が、せっかくのリアルな映像の質を完全に下げてしまっていました。かなりもったいない映画です。編集によっては、絶対良い映画になったと思います。
【サッド・ヴァケイション】 6点
キャストがこんなに豪華じゃなかったらもっと退屈だったかもしれない映画。でも、心情が変化する具合が自然に描かれていて、ヒューマンドラマ的な感じで楽しめました。『Helpless』も『EUREKA ユリイカ』も観てなかったけど、特に問題なく観れました。観たのがちょっと前やから細かく覚えてないけど、まあまあええんちゃう?って感じの映画。
【硫黄島からの手紙】 6点
いろいろ書きたいことあるけど、書くのに疲れてきたので省略。
この、イヤらしいほど“昭和”な雰囲気が、ベタベタなストーリーをどっかに吹きとばしちゃったような感じですね。29歳の僕が「懐かしい〜」なんて言ったら完全にウソつき呼ばわりされますけど、でもなんか「懐かしい〜」んです。昔、数年間住んでいた長屋での生活を思い出して、思わずそんな気持ちになっちゃいました。あの頃も地面はジャリ道やったなあ〜って感じで。
さっきも書いたように、ストーリーはベタもベタ。後半の部分、こっちが赤面しちゃいそうなくらいベタなシーンもありました。堀北真希が実家に帰るとことか、誰もが想像できてしまう展開。でもそのベタさが、純粋な「愛情」だったり「人とのふれあい」だったりをストレートに伝えられたんやろうなって思います。ベタやから大衆受けするけど、そのぶん映画としての残念度もちょっとあったりする感じ。
“お涙ちょうだい”的な映画って、けっこう毛嫌いする人もいるんですけど、その表現の上手さが重要ですよね。同じ「泣け、泣け〜!」っていう雰囲気がガンガン伝わる映画でも、シラ〜ってなる映画もあれば、ドボドボ泣いちゃう映画もある。それは、台詞や映像も含めた表現の上手さが重要なんじゃないですかね。例えば、いかにリアリティを保ち続けられる表現をしているか、とか。そのへんがこの映画に関してはなかなか上手かった。だから僕はこういう“お涙ちょうだい”的な映画でも感動したんでしょうね。ただ、後半の淳之介が戻ってくるシーンはダメ。ちょっと冷めちゃいましたね。あれは唯一ヘタだったシーンでした。
【パッチギ!】 7点
前半はどうなることかと思ったけど、後半に巻き返しました。あまり知られていない役者を使うことで、映画の世界がよりリアルなものになったと思います。ちょっとケンカのシーンが多すぎたところは気になったけど、若者の良い部分と悪い部分をバランス良く描いていて、なかなか気持ちよく観れました。カットのつなぎ方とか音声の拾い具合とか、台詞の内容とか、作品としての完成度が変に高すぎないところがけっこう好きな感じですね。
在日朝鮮人のことを描いた物語なんですが、終わってみて、何を伝えたかったのかが分かったようで、でもよく分からないという状況に陥ってしまいました。単純に「朝鮮人への差別反対!」なのか、「愛は国籍を超える」的なものなのか・・・。『イムジン河』はすごく良かったけど、すごく良かったで済んでしまう感じもあったりなかったり・・・。僕の感覚がまだ鈍いんでしょうか。
沢尻エリカって、ナチュラルメイクのときはなんでこんなにカワイイんでしょう?この映画でもバツグンに光ってました。なんか、今は女優としてもったいない状況になっちゃいましたね。顔とか演技とかがすばらしく良くても、性格とか態度とかで素材を生かしきれなくなったりするんでしょうかね。
【北極のナヌー】 5点
動物もののドキュメント映画としては、なかなか興味深い映像が多かったです。ただ、大きく残念なことがひとつ。それは、ナヌーのストーリーにこだわりすぎたのか、動物たちの映像をむりやりつなぎ合わせてまでストーリーを展開させていたこと。以前、同じく動物もので『ディープ・ブルー』という映画があったけど、あの映画は特にストーリーにはこだわっていなかった。だからこそ、映像にリアルさが感じられて、素晴らしい映画に仕上がっていたと思います。
でも、この『北極のナヌー』はストーリー展開にこだわってました。それはあくまでもナヌーを主人公にしようという興行戦略があったからじゃないでしょうか。子供たちが観やすくなり、グッズの売り上げなども期待できる状況にするためには、ストーリー上の主役が絶対に必要だったのでしょう。まぁ、それはそれで悪くはないんですが、映像のつなぎ方がちょっと・・いや、かなり乱暴でした。無理矢理なナレーションと、つなぎ合わせた映像が、せっかくのリアルな映像の質を完全に下げてしまっていました。かなりもったいない映画です。編集によっては、絶対良い映画になったと思います。
【サッド・ヴァケイション】 6点
キャストがこんなに豪華じゃなかったらもっと退屈だったかもしれない映画。でも、心情が変化する具合が自然に描かれていて、ヒューマンドラマ的な感じで楽しめました。『Helpless』も『EUREKA ユリイカ』も観てなかったけど、特に問題なく観れました。観たのがちょっと前やから細かく覚えてないけど、まあまあええんちゃう?って感じの映画。
【硫黄島からの手紙】 6点
いろいろ書きたいことあるけど、書くのに疲れてきたので省略。
2007-10.11 Thu勝手に映画批評18[映画]
Time[20:53] Comment[4] Trackback[11]
【めがね】 8点
やっぱいいですね。期待通り。『かもめ食堂』のノリはそのままでも、変化させるとこは変化させてる。そのあたりのバランスがなかなか絶妙でしたね。見終わった後に心がキレイになって、そしてお腹が空く映画。登場人物もみんな独特の平和ムードが漂っていて、ニコニコしながら観られます。
カメラの焦点が人じゃなくて風景に当たっているところが、この映画の独特の雰囲気を創り出している一つの要素ではないでしょうか。あくまでもその風景に人が入り込んでいるっちゅう感じ。だからあののんびりした空気を、観ている人も味わった気になれるんでしょうね。
相変わらず、登場人物の背景を明らかにしないまま終わる映画。いろんな想像をして、結局わからなくて、でも「まあ、いいか」で許せるからずごい。そんな背景とか理由とか事情とかはどうでもよくて、ただこの映画を味わうだけで満足なんですよね。逆にいろいろ知ってしまうとおもしろくなくなるのかもしれない。そういう絶妙な空気を創り出すのが上手いですね、ホンマ。
小林聡美さんの立場が『かもめ食堂』と全く違ったことには驚きでした。今回は登場人物の中で、一番“フツー”の人間。かもめを観ている人にとって、結構それは新鮮だったんじゃないですかね。あとは、やっぱり食べ物。かき氷とか、目玉焼きとか、ロブスターとか、どれもすばらしく美味しそうに映しています。かもめ食堂もそうだったんですが、こういう部分も映画の雰囲気を創り出している要素ですね。風景の一部というか、なんか物語を構成する一つの風景のような気がして、楽しめます。
ただやっぱり僕は『かもめ食堂』の方が好きですね。やっぱりあの映画には衝撃を受けましたから。特に映画の終わり方なんて、今までの映画でもトップクラスですね。だからどうしてもそれと比べてしまって、ちょっと点数は低くなりました。でも、この映画も負けず劣らずの良い映画。かもめを観ていない人は僕以上にもっともっと良く感じるのかもしれないですね。もちろん、好き嫌いがありそうなジャンルの映画ですけど。
やっぱいいですね。期待通り。『かもめ食堂』のノリはそのままでも、変化させるとこは変化させてる。そのあたりのバランスがなかなか絶妙でしたね。見終わった後に心がキレイになって、そしてお腹が空く映画。登場人物もみんな独特の平和ムードが漂っていて、ニコニコしながら観られます。
カメラの焦点が人じゃなくて風景に当たっているところが、この映画の独特の雰囲気を創り出している一つの要素ではないでしょうか。あくまでもその風景に人が入り込んでいるっちゅう感じ。だからあののんびりした空気を、観ている人も味わった気になれるんでしょうね。
相変わらず、登場人物の背景を明らかにしないまま終わる映画。いろんな想像をして、結局わからなくて、でも「まあ、いいか」で許せるからずごい。そんな背景とか理由とか事情とかはどうでもよくて、ただこの映画を味わうだけで満足なんですよね。逆にいろいろ知ってしまうとおもしろくなくなるのかもしれない。そういう絶妙な空気を創り出すのが上手いですね、ホンマ。
小林聡美さんの立場が『かもめ食堂』と全く違ったことには驚きでした。今回は登場人物の中で、一番“フツー”の人間。かもめを観ている人にとって、結構それは新鮮だったんじゃないですかね。あとは、やっぱり食べ物。かき氷とか、目玉焼きとか、ロブスターとか、どれもすばらしく美味しそうに映しています。かもめ食堂もそうだったんですが、こういう部分も映画の雰囲気を創り出している要素ですね。風景の一部というか、なんか物語を構成する一つの風景のような気がして、楽しめます。
ただやっぱり僕は『かもめ食堂』の方が好きですね。やっぱりあの映画には衝撃を受けましたから。特に映画の終わり方なんて、今までの映画でもトップクラスですね。だからどうしてもそれと比べてしまって、ちょっと点数は低くなりました。でも、この映画も負けず劣らずの良い映画。かもめを観ていない人は僕以上にもっともっと良く感じるのかもしれないですね。もちろん、好き嫌いがありそうなジャンルの映画ですけど。
2007-08.07 Tue勝手に映画批評17[映画]
Time[07:24] Comment[1] Trackback[13]
【レミーのおいしいレストラン】 8点
この映画から感じたメッセージは2つ。ひとつは、ルールやレシピなどという型に縛られず、自由な発想が何よりも大事だということ。2つ目は、ネズミだろうが人間だろうが何だろうが、可能性のあるものの芽を摘んではいけないということ。
ただ単にオモシロ感動系のストーリーっていうだけではなく、心の奥に訴えかけてくるものがあるところがピクサーの素晴らしいところ。今回も十分それを見せつけてくれました。今までのピクサー映画と違い、悪い意味での人間味というか、少しの毒素があった気がします。そこがイマイチと感じる人もいるでしょうが、それはそれで現実味を感じる部分もあり、僕は良かったと思います。ピクサーの常識になりつつあった映画の雰囲気を、少し変えた作品でしたね。
気になったのは、素晴らしい内容の影で、ちょっと無理矢理すぎたシーンがあったところ。前半部分でおバアちゃんが銃を連射するシーンですが、ネズミごときであそこまで連射する人はいないでしょ。レミーだけがなぜか人間の言葉がわかるところや、リングイニの髪の毛を引っ張ることで動きを操作できるところなどは、ストーリー上の都合のような気がして、無理矢理感がありました。パリというガッツリとした現実世界という設定と、このような非現実的なシーンや設定には、さすがのピクサー映画でも少し変な感じがしました。
恋人のコレットがリングイニのもとへ戻るシーンを観て、「才能よりも人間性が大事」だということを強く感じました。もしコレットがリングイニのもとへ戻らないストーリー展開だったら、映画自体の印象もぜんぜん違ったと思います。「結局は才能がある人間が幸せになれる」というような雰囲気で、人間界の冷たさだけが残ってしまう映画になったのではないでしょうか。その辺も含めて、伝わってくるものが多い映画でした。ただ、無理矢理なことは多いですが。
【ショーシャンクの空に】 8点
“名作”と呼ばれるだけあって、さすがの高クオリティ映画。ただ、ストーリーの中で少し首をひねってしまう部分がありました。狭い世界で展開されるストーリーも好きだし、主人公2人の人間性も強く伝わってきたし、その「首をひねる部分」さえなければ・・・というオシい内容。あんまり専門的なことがわかるわけではないですが、演技とか脚本とかはかなり質が高いんやろな〜って感じながら観ました。
この映画は殺人事件を犯した主人公が刑務所内で生活する物語を描いた映画。刑務所という縛られた閉鎖的な世界と、刑務所の外にある自由な世界とのギャップをうまく表現していて、観ていて思わず引き込まれてしまう内容でした。ラストのあの爽快感のあるシーンへの展開も間延びせず、2時間半も短く思えました。外国の映画でよくある、「序盤の展開がよくわからず、ストーリーの全体像を理解するのに時間がかかる」などということもなく、かなり丁寧に作られている印象。
ただ最初にも言ったように、ストーリーには不満点というか少し納得できない点がありました。それはアンディ脱獄からのストーリー展開。アンディは冤罪だったとはいえ、結局は脱獄という“犯罪”を犯し、しかも所長が不正で得たお金を自分のものにしました。所長がかなりの悪者だったので、アンディがまるで完全な正義であるような雰囲気になっていましたが、アンディのしていることも十分悪いこと。冤罪で何十年も刑務所暮らしだったのだから、お金くらいもらってもいいのでは?という意見もあるでしょうが、それも何か違う気がします。これなら、アンディの冤罪が晴れてハッピーエンドの方が気持ちよかった。さらに言えば、レッドはアンディと違って完全な犯罪者なわけです。不正なお金を得たアンディのもとへ、仮釈放を違反してまで向かったことにはあまり賛同できません。
とまあそんな感じです。映画の質としては素晴らしいものでしたが、ストーリーには少し疑問符が付く内容でした。ただ、名作と呼ばれるだけのことはある映画なので、観ておくにこしたことはないですね。
【グリーン・ディスティニー】 5点
ワイヤーアクションがヒドすぎて笑えた。オーソドックスなストーリーですが、決しておもんないわけではない作品です。若かりしチャン・ツィイーが奮闘していて、なかなか新鮮。
【日常 恋の声】 6点
吉本の芸人が登場するマジメ映画の続編。中山功太をはじめ、ちょっと狙いすぎのセリフも多く、第一作に比べて質が下がってました。出演者はいろいろ変わっているので、観る価値はありですね。小籔千豊と土肥ポン太の、キャバクラでのシーンがおもしろかった。
この映画から感じたメッセージは2つ。ひとつは、ルールやレシピなどという型に縛られず、自由な発想が何よりも大事だということ。2つ目は、ネズミだろうが人間だろうが何だろうが、可能性のあるものの芽を摘んではいけないということ。
ただ単にオモシロ感動系のストーリーっていうだけではなく、心の奥に訴えかけてくるものがあるところがピクサーの素晴らしいところ。今回も十分それを見せつけてくれました。今までのピクサー映画と違い、悪い意味での人間味というか、少しの毒素があった気がします。そこがイマイチと感じる人もいるでしょうが、それはそれで現実味を感じる部分もあり、僕は良かったと思います。ピクサーの常識になりつつあった映画の雰囲気を、少し変えた作品でしたね。
気になったのは、素晴らしい内容の影で、ちょっと無理矢理すぎたシーンがあったところ。前半部分でおバアちゃんが銃を連射するシーンですが、ネズミごときであそこまで連射する人はいないでしょ。レミーだけがなぜか人間の言葉がわかるところや、リングイニの髪の毛を引っ張ることで動きを操作できるところなどは、ストーリー上の都合のような気がして、無理矢理感がありました。パリというガッツリとした現実世界という設定と、このような非現実的なシーンや設定には、さすがのピクサー映画でも少し変な感じがしました。
恋人のコレットがリングイニのもとへ戻るシーンを観て、「才能よりも人間性が大事」だということを強く感じました。もしコレットがリングイニのもとへ戻らないストーリー展開だったら、映画自体の印象もぜんぜん違ったと思います。「結局は才能がある人間が幸せになれる」というような雰囲気で、人間界の冷たさだけが残ってしまう映画になったのではないでしょうか。その辺も含めて、伝わってくるものが多い映画でした。ただ、無理矢理なことは多いですが。
【ショーシャンクの空に】 8点
“名作”と呼ばれるだけあって、さすがの高クオリティ映画。ただ、ストーリーの中で少し首をひねってしまう部分がありました。狭い世界で展開されるストーリーも好きだし、主人公2人の人間性も強く伝わってきたし、その「首をひねる部分」さえなければ・・・というオシい内容。あんまり専門的なことがわかるわけではないですが、演技とか脚本とかはかなり質が高いんやろな〜って感じながら観ました。
この映画は殺人事件を犯した主人公が刑務所内で生活する物語を描いた映画。刑務所という縛られた閉鎖的な世界と、刑務所の外にある自由な世界とのギャップをうまく表現していて、観ていて思わず引き込まれてしまう内容でした。ラストのあの爽快感のあるシーンへの展開も間延びせず、2時間半も短く思えました。外国の映画でよくある、「序盤の展開がよくわからず、ストーリーの全体像を理解するのに時間がかかる」などということもなく、かなり丁寧に作られている印象。
ただ最初にも言ったように、ストーリーには不満点というか少し納得できない点がありました。それはアンディ脱獄からのストーリー展開。アンディは冤罪だったとはいえ、結局は脱獄という“犯罪”を犯し、しかも所長が不正で得たお金を自分のものにしました。所長がかなりの悪者だったので、アンディがまるで完全な正義であるような雰囲気になっていましたが、アンディのしていることも十分悪いこと。冤罪で何十年も刑務所暮らしだったのだから、お金くらいもらってもいいのでは?という意見もあるでしょうが、それも何か違う気がします。これなら、アンディの冤罪が晴れてハッピーエンドの方が気持ちよかった。さらに言えば、レッドはアンディと違って完全な犯罪者なわけです。不正なお金を得たアンディのもとへ、仮釈放を違反してまで向かったことにはあまり賛同できません。
とまあそんな感じです。映画の質としては素晴らしいものでしたが、ストーリーには少し疑問符が付く内容でした。ただ、名作と呼ばれるだけのことはある映画なので、観ておくにこしたことはないですね。
【グリーン・ディスティニー】 5点
ワイヤーアクションがヒドすぎて笑えた。オーソドックスなストーリーですが、決しておもんないわけではない作品です。若かりしチャン・ツィイーが奮闘していて、なかなか新鮮。
【日常 恋の声】 6点
吉本の芸人が登場するマジメ映画の続編。中山功太をはじめ、ちょっと狙いすぎのセリフも多く、第一作に比べて質が下がってました。出演者はいろいろ変わっているので、観る価値はありですね。小籔千豊と土肥ポン太の、キャバクラでのシーンがおもしろかった。
2007-06.12 Tue勝手に映画批評16[映画]
Time[12:50] Comment[2] Trackback[12]
【300(スリーハンドレッド)】 4点
けっこう期待して観に行ったんですが、イマイチでした。まず言うと、ストーリーが薄い。一言で「300人と100万人が戦った」っていうだけの映画って感じ。それ以上でもなくそれ以下でもない、ただそれだけの映画。厳しい特訓によって産み出されたスパルタの戦士像や、何があっても撤退せず、何があっても降伏しないというスパルタをもっとストーリーに絡めて複雑に描いてほしかった。なんか戦い方もノーマルで、戦う姿勢も“やる気マンマンの戦士”っていう程度。スパルタだから起こりえる特別な展開が全くなかったんで、退屈な気分になりました。
古代の現実を描いたノリかと思いきや、敵キャラで妖怪のようなヤツらがたくさん登場してきて、どういう世界での出来事かわからなくなった。裏切り者になるヤツも人間離れしているし、魔法とかもありえる “何でもアリ”の世界のような気もして、映画に入っていけません。ボスキャラの男も古代の雰囲気がなく、統一感があまりなかった。僕としては完全に現実世界の古代として映画の雰囲気をつくってほしかったです。
映像が期待していたのと違ったところも残念でした。全体的に暗くて狭い雰囲気のシーンが多く、壮大でリアルな古代の風景はあまりありませんでした。ほとんどのシーンをCGで表現してるらしいのですが、そのせいもあったのでしょうか。個人的には『トロイ』のようなリアルで壮大な映画の雰囲気を期待していたのですが、全くそうではなかった。主人公夫婦のラブシーンを中途半端に長く入れたり、エンドロールを血だらけにしたり、よくわからないことが多々。ちょっと変わった監督なんですかね。よく知りませんが。
話は変わりますが、ラブシーンとかキスシーンとか、絶対に入れなきゃいけないもんなんですかね?ハリウッドの映画ってたいがい入ってるじゃないですか。それが無意味であっても、何かしら必ずそういうシーンが入っている。暗黙の掟でもあるんでしょうか。必要ないんだったら入れなきゃいいのに。いつもそう思います。効果のよく分からないしょうもないキスシーンを観るくらいだったら、きれいな風景でも見せてくれた方がマシです。
まあでも、ラストシーンとか闘いのシーンは悪くなかったし、興奮するシーンもありました。なので、駄作とまで言い切ってしまうほどの映画ではありません。ただ、必要以上に高評価されていることが不思議。やっぱストーリーが薄かったら映画はおもしろくないですね。
【バッテリー】 6点
個人的に好きなポイントを集めた映画だったので、なかなか楽しめました。原作をまったく読まずにこの映画を観たんですが、田舎の雰囲気、野球への情熱、友情、弟の病気、兄弟愛など、個人的に弱いシーンが満載で、序盤から涙がうるうる光ってました。弟・青波役の子役がかなり良い味を出していたと思います。
タイトルどおり、バッテリー間の信頼をテーマにした映画。これはこれで良かったとは思うんですが、個人的にはもっと青波にスポットを当てて、「病気の少年が野球をする」みたいなストーリーにしても良かったのではと思いました。現状のストーリーでは、青波の扱いが中途半端で、ただの盛り上げ役くらいにしか見えませんでした。
ちょっと大人たちを悪役のように扱いすぎていたことや、ライバルの中学生がどう見ても大人に見えたことは改善の余地あり。調べてみたら、20歳を超えた俳優に中学生役をさせてるんですね。そりゃやりすぎやわ。違和感たっぷり。さらに、その彼が言う「こいつの球を打つために、高校には行かん!」みたいなセリフなんて、どう考えてもむちゃくちゃ。まあ、勢いで無茶なセリフ言うところが逆に中学生っぽくてリアルっちゃあリアルやねんけど。
忙しい社会での生活に疲れていて、しかも野球とか田舎の風景とかが好きな人なら、ボーと見ると癒されるんではないでしょうか。あまり気合いを入れず、期待もせず雰囲気を楽しみましょう。それがこの映画を観るポイント。個人的に好きなポイントの多い映画だったので、ちょっと甘い採点になっちゃいました。
けっこう期待して観に行ったんですが、イマイチでした。まず言うと、ストーリーが薄い。一言で「300人と100万人が戦った」っていうだけの映画って感じ。それ以上でもなくそれ以下でもない、ただそれだけの映画。厳しい特訓によって産み出されたスパルタの戦士像や、何があっても撤退せず、何があっても降伏しないというスパルタをもっとストーリーに絡めて複雑に描いてほしかった。なんか戦い方もノーマルで、戦う姿勢も“やる気マンマンの戦士”っていう程度。スパルタだから起こりえる特別な展開が全くなかったんで、退屈な気分になりました。
古代の現実を描いたノリかと思いきや、敵キャラで妖怪のようなヤツらがたくさん登場してきて、どういう世界での出来事かわからなくなった。裏切り者になるヤツも人間離れしているし、魔法とかもありえる “何でもアリ”の世界のような気もして、映画に入っていけません。ボスキャラの男も古代の雰囲気がなく、統一感があまりなかった。僕としては完全に現実世界の古代として映画の雰囲気をつくってほしかったです。
映像が期待していたのと違ったところも残念でした。全体的に暗くて狭い雰囲気のシーンが多く、壮大でリアルな古代の風景はあまりありませんでした。ほとんどのシーンをCGで表現してるらしいのですが、そのせいもあったのでしょうか。個人的には『トロイ』のようなリアルで壮大な映画の雰囲気を期待していたのですが、全くそうではなかった。主人公夫婦のラブシーンを中途半端に長く入れたり、エンドロールを血だらけにしたり、よくわからないことが多々。ちょっと変わった監督なんですかね。よく知りませんが。
話は変わりますが、ラブシーンとかキスシーンとか、絶対に入れなきゃいけないもんなんですかね?ハリウッドの映画ってたいがい入ってるじゃないですか。それが無意味であっても、何かしら必ずそういうシーンが入っている。暗黙の掟でもあるんでしょうか。必要ないんだったら入れなきゃいいのに。いつもそう思います。効果のよく分からないしょうもないキスシーンを観るくらいだったら、きれいな風景でも見せてくれた方がマシです。
まあでも、ラストシーンとか闘いのシーンは悪くなかったし、興奮するシーンもありました。なので、駄作とまで言い切ってしまうほどの映画ではありません。ただ、必要以上に高評価されていることが不思議。やっぱストーリーが薄かったら映画はおもしろくないですね。
【バッテリー】 6点
個人的に好きなポイントを集めた映画だったので、なかなか楽しめました。原作をまったく読まずにこの映画を観たんですが、田舎の雰囲気、野球への情熱、友情、弟の病気、兄弟愛など、個人的に弱いシーンが満載で、序盤から涙がうるうる光ってました。弟・青波役の子役がかなり良い味を出していたと思います。
タイトルどおり、バッテリー間の信頼をテーマにした映画。これはこれで良かったとは思うんですが、個人的にはもっと青波にスポットを当てて、「病気の少年が野球をする」みたいなストーリーにしても良かったのではと思いました。現状のストーリーでは、青波の扱いが中途半端で、ただの盛り上げ役くらいにしか見えませんでした。
ちょっと大人たちを悪役のように扱いすぎていたことや、ライバルの中学生がどう見ても大人に見えたことは改善の余地あり。調べてみたら、20歳を超えた俳優に中学生役をさせてるんですね。そりゃやりすぎやわ。違和感たっぷり。さらに、その彼が言う「こいつの球を打つために、高校には行かん!」みたいなセリフなんて、どう考えてもむちゃくちゃ。まあ、勢いで無茶なセリフ言うところが逆に中学生っぽくてリアルっちゃあリアルやねんけど。
忙しい社会での生活に疲れていて、しかも野球とか田舎の風景とかが好きな人なら、ボーと見ると癒されるんではないでしょうか。あまり気合いを入れず、期待もせず雰囲気を楽しみましょう。それがこの映画を観るポイント。個人的に好きなポイントの多い映画だったので、ちょっと甘い採点になっちゃいました。
2007-06.05 Tue勝手に映画批評15[映画]
Time[19:46] Comment[5] Trackback[13]
【大日本人】 8点
意外・・・と言ったら失礼ですが、おもしろかった。見終わった感想としては、「めっちゃ笑ったわ〜」ってことと「これ、果たして映画か?」っていうこと。ただ、映画というものは、必ずしも「こうでなくてはならない」という決まりがあるわけではなく、多くの作品に見られる傾向があくまでも“映画の標準”であるような気がしているだけだと思うので、その部分に文句はありません。
基本的なテイストとしては松っちゃんのコントDVD『VISUALBUM』のような感じ。あまり内容を書くとこれから観る人が楽しめないので伏せておくけど、“松本人志テイスト”がプンプンしていて「あ〜、松っちゃんホンマこういうの好きやな〜」って思う部分が随所に存在しています。インタビュアーの“なあなあ”のノリとか、ヒーローに対する世間の扱いとか、彼の“マゾ的”な笑いのツボが詰まっています。松本人志の笑いが好きな人であれば、ほぼ間違いなく楽しめるでしょう。
終盤は『ごっつええ感じ』的なノリが急に始まって、彼の言う「映画を壊す」という言葉通り、ムチャクチャな展開。“映画の標準”を大切にしたい人であれば、意味不明な内容で怒りすら込み上げてくるような展開でしょう。個人的には大笑いしたから満足でしたが、間違いなく賛否両論あるでしょうね。でも初作品でここまでムチャクチャできたのは、やはり彼が松本人志だったからでしょう。
一部で言われている「この映画は児童虐待や介護問題、動物愛護問題などの社会風刺がたくさん入っている」という意見ですが、シーンひとつひとつ振り返ってみればそうとも思いますが、観ていて強くそう感じることは特にありませんでした。この部分に関しては、ちょっと彼を持ち上げすぎでは?と思います。「天才」と言われている人だと、細かいところを取り上げてそういう意見を言う人もいるんですかね。彼自身も「たまたま」と言っていますし、そんなに社会風刺を込めた映画だとは思いません。
あと、出演者の演技がなかなか自然で良かった。エキストラ(?)のおっさんたちも含めて。撮影する雰囲気づくりが上手かったんでしょうね。ただ、松っちゃん自身の演技がイマイチだったことが残念。関西弁の彼がむりやり標準語を使っているので、終始ぎこちない演技にみえました。観てる側が「松っちゃんの演技」として観ているので、さらにぎこちなく見えたんでしょう。世の中の松本人志に対するイメージは完全に出来上がってしまっているので、役者・松本人志はかなりハードルが高いですね。相当な演技力がない限り、ぎこちなさを感じると思います。
正直、この映画はカンヌでウケるとは思えません。酷評されることがあったのも十分うなづけます。松本人志のツボが好きな人でなければ、意味不明ってこともあるでしょう。事実、僕の隣にいたカップルは「わからん、わからん!」を連呼していました。でも、やっぱ劇場で見ておくべき作品だと思いますよ。
【監督・ばんざい!】 5点
「世界のキタノ」だから許される、映画で遊びまくった作品。北野武の代表作には決してならないだろうけど、「こんな映画があってもいいのかも」とい思えた映画。気合いを入れて観に行くような映画では全くなく、2〜3年後には「そんな作品あったなあ〜」と思うくらいの、まあそんな感じの内容でした。
前半の、あらゆるジャンルの映画をオムニバス形式で見せるパターンは個人的に好きでした。でも、こういうのを続けていくのかと思いきや、後半はどうもよくわからないテーマの作品を長々と続けていたので、ちょっと退屈に感じました。どうせなら前半のようなノリで終わりまで続けていってもらった方が良かったかも。
松本人志の『大日本人』と同様、この映画も「映画を壊す」作品だったように思えます。ただ、こっちはちょっと不発って感じ。ビートたけしの笑いは詰まっていたけど、映画自体の芯となるものがあまり見えずダラダラしていて、あまりついていけなかった。良い意味でも悪い言い見でも「悪ふざけ」したような映画だったように思えます。
それぞれのオムニバス作品での内容は、「さすが北野武!」という部分も多くありました。貧乏な子どもが出てくる人間味ある物語や、忍者映画での迫力あるシーンなど、それぞれで彼の持ち味のようなものが出ていました。だからこそ、そのノリで最後まで進めていってほしかった。後半のダラダラ感は狙いだったのかもしれないが、個人的にはあんまり。なんかもったいない映画のように思えたのは僕だけでしょうか。1800円払うほどの映画かと言われれば、払うほどではないと答えてしまう映画です。
意外・・・と言ったら失礼ですが、おもしろかった。見終わった感想としては、「めっちゃ笑ったわ〜」ってことと「これ、果たして映画か?」っていうこと。ただ、映画というものは、必ずしも「こうでなくてはならない」という決まりがあるわけではなく、多くの作品に見られる傾向があくまでも“映画の標準”であるような気がしているだけだと思うので、その部分に文句はありません。
基本的なテイストとしては松っちゃんのコントDVD『VISUALBUM』のような感じ。あまり内容を書くとこれから観る人が楽しめないので伏せておくけど、“松本人志テイスト”がプンプンしていて「あ〜、松っちゃんホンマこういうの好きやな〜」って思う部分が随所に存在しています。インタビュアーの“なあなあ”のノリとか、ヒーローに対する世間の扱いとか、彼の“マゾ的”な笑いのツボが詰まっています。松本人志の笑いが好きな人であれば、ほぼ間違いなく楽しめるでしょう。
終盤は『ごっつええ感じ』的なノリが急に始まって、彼の言う「映画を壊す」という言葉通り、ムチャクチャな展開。“映画の標準”を大切にしたい人であれば、意味不明な内容で怒りすら込み上げてくるような展開でしょう。個人的には大笑いしたから満足でしたが、間違いなく賛否両論あるでしょうね。でも初作品でここまでムチャクチャできたのは、やはり彼が松本人志だったからでしょう。
一部で言われている「この映画は児童虐待や介護問題、動物愛護問題などの社会風刺がたくさん入っている」という意見ですが、シーンひとつひとつ振り返ってみればそうとも思いますが、観ていて強くそう感じることは特にありませんでした。この部分に関しては、ちょっと彼を持ち上げすぎでは?と思います。「天才」と言われている人だと、細かいところを取り上げてそういう意見を言う人もいるんですかね。彼自身も「たまたま」と言っていますし、そんなに社会風刺を込めた映画だとは思いません。
あと、出演者の演技がなかなか自然で良かった。エキストラ(?)のおっさんたちも含めて。撮影する雰囲気づくりが上手かったんでしょうね。ただ、松っちゃん自身の演技がイマイチだったことが残念。関西弁の彼がむりやり標準語を使っているので、終始ぎこちない演技にみえました。観てる側が「松っちゃんの演技」として観ているので、さらにぎこちなく見えたんでしょう。世の中の松本人志に対するイメージは完全に出来上がってしまっているので、役者・松本人志はかなりハードルが高いですね。相当な演技力がない限り、ぎこちなさを感じると思います。
正直、この映画はカンヌでウケるとは思えません。酷評されることがあったのも十分うなづけます。松本人志のツボが好きな人でなければ、意味不明ってこともあるでしょう。事実、僕の隣にいたカップルは「わからん、わからん!」を連呼していました。でも、やっぱ劇場で見ておくべき作品だと思いますよ。
【監督・ばんざい!】 5点
「世界のキタノ」だから許される、映画で遊びまくった作品。北野武の代表作には決してならないだろうけど、「こんな映画があってもいいのかも」とい思えた映画。気合いを入れて観に行くような映画では全くなく、2〜3年後には「そんな作品あったなあ〜」と思うくらいの、まあそんな感じの内容でした。
前半の、あらゆるジャンルの映画をオムニバス形式で見せるパターンは個人的に好きでした。でも、こういうのを続けていくのかと思いきや、後半はどうもよくわからないテーマの作品を長々と続けていたので、ちょっと退屈に感じました。どうせなら前半のようなノリで終わりまで続けていってもらった方が良かったかも。
松本人志の『大日本人』と同様、この映画も「映画を壊す」作品だったように思えます。ただ、こっちはちょっと不発って感じ。ビートたけしの笑いは詰まっていたけど、映画自体の芯となるものがあまり見えずダラダラしていて、あまりついていけなかった。良い意味でも悪い言い見でも「悪ふざけ」したような映画だったように思えます。
それぞれのオムニバス作品での内容は、「さすが北野武!」という部分も多くありました。貧乏な子どもが出てくる人間味ある物語や、忍者映画での迫力あるシーンなど、それぞれで彼の持ち味のようなものが出ていました。だからこそ、そのノリで最後まで進めていってほしかった。後半のダラダラ感は狙いだったのかもしれないが、個人的にはあんまり。なんかもったいない映画のように思えたのは僕だけでしょうか。1800円払うほどの映画かと言われれば、払うほどではないと答えてしまう映画です。
2007-03.14 Wed勝手に映画批評14[映画]
Time[19:29] Comment[2] Trackback[18]
【さくらん】 2点
申し訳ないですが、全くおもしろくなかった。いくら写真家として実績があっても、親父が超有名映画監督でも、それだけですばらしい映画が撮れるとは限らないですね。正直、ある意味ホッとしました。やっぱ映画は中身。色彩や映像、音楽が良ければいいってもんじゃないですよ。
確かに、ビジュアルにはかなり力を入れていて、赤を基調とした世界には独特の雰囲気が漂っていました。蜷川実花さんの写真を何枚か見ましたが、いかにも彼女が好きそうなテイスト。ちょっとギラギラしていてうるさかったけど、そこが彼女の良さでもあるんでしょうね。でも、僕は北野武の『Dolls』の方がすばらしい色彩だったと思います。
ストーリーと脚本は言い出すとキリがない内容。前半、あれだけ花魁の世界を描くことに徹していたのに、後半は急にベタなラブストーリーに突入。椎名桔平が登場してからちょっとヤバい雰囲気が漂いだして、まさかの“そのまんま”な展開。ここまでとは思わなかった。逆に「ウソん!?」って思いましたもん。
各俳優陣の演技っぷりに感じる“時代感”がめちゃくちゃで、違和感たっぷりでした。印象ですが、みんな前半は頑張って時代感のあるセリフを使おうとしてたのに、後半は息切れしてフツーの現代人に戻っちゃってた気がする。後半なんてただの現代の恋愛ドラマやった。退屈やった・・・。土屋アンナなんて“素”でしたやん。あれ、演技って言うんですかね?多少は狙った演技なんでしょうけど・・・まあ、あれが売りの女優なんでしょうから、何とも言えないです。
あと疑問なのが、主人公が花魁としてNo.1に登りつめられたのはなぜなんでしょう?遊郭に来た客がそろって絶賛する理由が、僕にはよくわからなかった。特に飛び抜けて美しいわけでもなく、ナイスバディでもなく、サービスがすばらしいわけでもなく・・・。なんか、出来上がってるストーリーのような感じがして、あまり入っていけなかった。この映画で言えるのは、木村佳乃と菅野美穂の体当たりっぷりにびっくりしたってことだけですね。
【マリー・アントワネット】 4点
これは歴史映画では全くなく、「どこにでもいるような一人の女性の生き様」を描こうとした映画でした。ファッションやグルメを楽しむ女性は中世ヨーロッパでも現代でも同じで、跡継ぎづくりのために四苦八苦する姿や、ダンナに満足できなくなって遊び出す姿など、徹底的にマリー・アントワネットを人間的に描こうとしていました。
しかし、いかんせん、それが表現できていなかった。マリーの性格や心の奥底に秘めた想いが全く見えず、“人間味”がマリー・アントワネットに感じられなかった。ひと言で言えば、キャラが定まっていなかった気がします。ポップで天真爛漫な女性を描きたかったんでしょうけど、脚本が悪かったのか、キルスティン・ダンストには荷が重かったのか、全くダメでした。この女優はスパイダーマンのヒロインの人らしいですね。ぜんぜん魅力的じゃないと思います。オーラも容姿もぜんぶ。スパイダーマンの頃なんかもっとヒドかったですよ。
この映画は歴史的背景を排除させるのが(たぶん)狙いだったとはいえ、ラストシーンはかなりひどかった。どう考えてもギロチン処刑を描くべきだったのに、中途半端すぎる終わり方で最悪でした。実際に処刑される前にマリーが言った言葉なんて、映画のラストシーンにはもってこいの言葉。なのにどうしてそれを使わなかったんでしょう。もったいない。別の意図があるんなら聞きたいもんです。僕なら、マリーが死ぬ直前に放ったあの言葉で映画を締めくくります。ギロチン処刑の瞬間までは映さず、最期の言葉が放たれた瞬間にエンドロールです。その方が絶対いいでしょう。あと、あのBGM、なんだありゃ。あれがソフィアコッポラっぽさらしいんですが、ちょっと僕にはついていけませんでした。
映画のほとんどが宮廷のなかでのシーンで、貧困にあえぐフランスの群衆が登場したのは最後の襲撃事件のシーンくらいだったのは良かった。この映画はあくまでもマリー・アントワネット目線にさせるべきなので、閉ざされた宮廷生活を演出するこの表現で良かったですね。
【それでもボクはやってない】 8点
裁判の傍聴はしたことないですけど、かなりリアルな映画だったような気がする。淡々と進む裁判のなかに、焦りやいらだちが入り交じっていて、容疑者にさせられた主人公の気持ちがよく伝わってきました。日本における司法の構造的問題をバッサリと切っており、主人公でも裁判官でも弁護士でもない“誰か”からのメッセージが存在しているような気がしました。まあ、それは監督である周防正行氏その人なんでしょうね。
役所広司、加瀬亮の演技が特に良かったです。加瀬亮の演技ははじめて見たんですが、こんなにいい役者とは知らなかった。偶然この役がハマリ役だったこともあるんでしょうが、なかなかの演技派っぷりにびっくりしました。長時間の映画なのに長く感じなかったのは、ストーリー・脚本以外にも役者の演技があったからだと思います。この映画は3つとも良かった。シーンとした映画館が妙に心地よかったです。
エンタテインメント性は全くないドキュメンタリー系の映画なので、人によってはしんどい映画でもあるでしょう。でも検察官と弁護士、裁判官の弁論対決や、判決が言い渡されるまでのプロセスなど、もはやこれはエンタテインメントと呼んでもいいものだと思います。傍聴マニアの気持ちも少しは理解できました。裁判長が急に交代したことや、判決基準の裏話など、裁判におけるもどかしい実態を打ち出し、勉強になる部分も多くありました。映画に限らず、この映画みたいに何かの実態を知り学ぶことができるものって大切ですよね。映画ってこういうものが少ないんで、貴重だと思います。しかも打ち出し方が自然で違和感がなく、いち傍聴人になってスクリーンの中に入ることができました。あまりない、一風変わった映画です。他にも日本映画で冤罪告発映画は何本かあるらしいので、これを機会に観てみようかと思います。
申し訳ないですが、全くおもしろくなかった。いくら写真家として実績があっても、親父が超有名映画監督でも、それだけですばらしい映画が撮れるとは限らないですね。正直、ある意味ホッとしました。やっぱ映画は中身。色彩や映像、音楽が良ければいいってもんじゃないですよ。
確かに、ビジュアルにはかなり力を入れていて、赤を基調とした世界には独特の雰囲気が漂っていました。蜷川実花さんの写真を何枚か見ましたが、いかにも彼女が好きそうなテイスト。ちょっとギラギラしていてうるさかったけど、そこが彼女の良さでもあるんでしょうね。でも、僕は北野武の『Dolls』の方がすばらしい色彩だったと思います。
ストーリーと脚本は言い出すとキリがない内容。前半、あれだけ花魁の世界を描くことに徹していたのに、後半は急にベタなラブストーリーに突入。椎名桔平が登場してからちょっとヤバい雰囲気が漂いだして、まさかの“そのまんま”な展開。ここまでとは思わなかった。逆に「ウソん!?」って思いましたもん。
各俳優陣の演技っぷりに感じる“時代感”がめちゃくちゃで、違和感たっぷりでした。印象ですが、みんな前半は頑張って時代感のあるセリフを使おうとしてたのに、後半は息切れしてフツーの現代人に戻っちゃってた気がする。後半なんてただの現代の恋愛ドラマやった。退屈やった・・・。土屋アンナなんて“素”でしたやん。あれ、演技って言うんですかね?多少は狙った演技なんでしょうけど・・・まあ、あれが売りの女優なんでしょうから、何とも言えないです。
あと疑問なのが、主人公が花魁としてNo.1に登りつめられたのはなぜなんでしょう?遊郭に来た客がそろって絶賛する理由が、僕にはよくわからなかった。特に飛び抜けて美しいわけでもなく、ナイスバディでもなく、サービスがすばらしいわけでもなく・・・。なんか、出来上がってるストーリーのような感じがして、あまり入っていけなかった。この映画で言えるのは、木村佳乃と菅野美穂の体当たりっぷりにびっくりしたってことだけですね。
【マリー・アントワネット】 4点
これは歴史映画では全くなく、「どこにでもいるような一人の女性の生き様」を描こうとした映画でした。ファッションやグルメを楽しむ女性は中世ヨーロッパでも現代でも同じで、跡継ぎづくりのために四苦八苦する姿や、ダンナに満足できなくなって遊び出す姿など、徹底的にマリー・アントワネットを人間的に描こうとしていました。
しかし、いかんせん、それが表現できていなかった。マリーの性格や心の奥底に秘めた想いが全く見えず、“人間味”がマリー・アントワネットに感じられなかった。ひと言で言えば、キャラが定まっていなかった気がします。ポップで天真爛漫な女性を描きたかったんでしょうけど、脚本が悪かったのか、キルスティン・ダンストには荷が重かったのか、全くダメでした。この女優はスパイダーマンのヒロインの人らしいですね。ぜんぜん魅力的じゃないと思います。オーラも容姿もぜんぶ。スパイダーマンの頃なんかもっとヒドかったですよ。
この映画は歴史的背景を排除させるのが(たぶん)狙いだったとはいえ、ラストシーンはかなりひどかった。どう考えてもギロチン処刑を描くべきだったのに、中途半端すぎる終わり方で最悪でした。実際に処刑される前にマリーが言った言葉なんて、映画のラストシーンにはもってこいの言葉。なのにどうしてそれを使わなかったんでしょう。もったいない。別の意図があるんなら聞きたいもんです。僕なら、マリーが死ぬ直前に放ったあの言葉で映画を締めくくります。ギロチン処刑の瞬間までは映さず、最期の言葉が放たれた瞬間にエンドロールです。その方が絶対いいでしょう。あと、あのBGM、なんだありゃ。あれがソフィアコッポラっぽさらしいんですが、ちょっと僕にはついていけませんでした。
映画のほとんどが宮廷のなかでのシーンで、貧困にあえぐフランスの群衆が登場したのは最後の襲撃事件のシーンくらいだったのは良かった。この映画はあくまでもマリー・アントワネット目線にさせるべきなので、閉ざされた宮廷生活を演出するこの表現で良かったですね。
【それでもボクはやってない】 8点
裁判の傍聴はしたことないですけど、かなりリアルな映画だったような気がする。淡々と進む裁判のなかに、焦りやいらだちが入り交じっていて、容疑者にさせられた主人公の気持ちがよく伝わってきました。日本における司法の構造的問題をバッサリと切っており、主人公でも裁判官でも弁護士でもない“誰か”からのメッセージが存在しているような気がしました。まあ、それは監督である周防正行氏その人なんでしょうね。
役所広司、加瀬亮の演技が特に良かったです。加瀬亮の演技ははじめて見たんですが、こんなにいい役者とは知らなかった。偶然この役がハマリ役だったこともあるんでしょうが、なかなかの演技派っぷりにびっくりしました。長時間の映画なのに長く感じなかったのは、ストーリー・脚本以外にも役者の演技があったからだと思います。この映画は3つとも良かった。シーンとした映画館が妙に心地よかったです。
エンタテインメント性は全くないドキュメンタリー系の映画なので、人によってはしんどい映画でもあるでしょう。でも検察官と弁護士、裁判官の弁論対決や、判決が言い渡されるまでのプロセスなど、もはやこれはエンタテインメントと呼んでもいいものだと思います。傍聴マニアの気持ちも少しは理解できました。裁判長が急に交代したことや、判決基準の裏話など、裁判におけるもどかしい実態を打ち出し、勉強になる部分も多くありました。映画に限らず、この映画みたいに何かの実態を知り学ぶことができるものって大切ですよね。映画ってこういうものが少ないんで、貴重だと思います。しかも打ち出し方が自然で違和感がなく、いち傍聴人になってスクリーンの中に入ることができました。あまりない、一風変わった映画です。他にも日本映画で冤罪告発映画は何本かあるらしいので、これを機会に観てみようかと思います。