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2007-01.23 Tue追記:ホワイトカラー・エグゼンプション導入に断固反対![世の中]

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■安心できない“先送り”
平成19年1月17日、自民、公明両党の幹事長、政調会長、国対委員長が会談し、ホワイトカラー・エグゼンプション制度を通常国会には提出しない方針を確認した。この制度については以前のブログを見てもらえばわかるのだが、残業代不払いを合法化し、長時間労働を引き起こしてしまいかねないものであり、世論や野党から多くの批判を浴びていた。労働時間の規制を取り払うことでサービス残業が増加し、過労死などの労働災害を増加させてしまう懸念があり、中小企業や経営難の企業で働く労働者は特にその被害者になる可能性がある。この法案が、今月から行われる通常国会には提出されないこととなった。

ただ、これでホッとしてはいけない。これは“見送り”ではなく“先送り”である。夏の参院選への影響を考え、「とりあえず参院選が終わるまで待とう」という与党の考えだ。本当に良い制度だと思うなら、参院選があろうが何があろうが真っ向勝負すればいい。逆に「やはり悪影響が大きい」と思うのなら、この制度自体を白紙撤回すべきである。選挙をにらんで法案提出を見送るなんてよくあることなのだが、選挙によって導入が左右される法案なんて、本当に必要な法案なのだろうか。

現状、厚生労働省は国民に対して、この制度について具体的説明をあまり行っていない。対象の基本ラインとなる年収についても、同省が「年収900万円以上」と想定するのに対し、日本経団連が2005年に公表した提言では「年収400万円以上」とバラバラ。なぜその年収額に設定するのかも説明せず、批判を受けにくいラインをただ探っているだけ。これでは国民に伝わるはずがない。恐らく経済界の希望としては年収400万円位のラインなのだろうが、さすがにこれでは支持を得られないと思った厚労省が、慌てて年収900万円以上と試算して対象を絞った。対象を絞っておいて導入しやすくし、導入されてからその適用範囲を広げていこうという魂胆だろう。この現実を国民はもっと知るべきだ。ちなみに、対象の基本ラインを年収にすること自体、私は反対である。

■与党・経済界はなぜメリットをうまく使えないのか
もちろん、このホワイトカラー・エグゼンプションにはメリットが全くないわけでもない。前提としてこの制度を各企業にうまく浸透させることが条件となるが、たとえば、効率よく仕事を行うことによって、労働者は自由な時間を多く持つことができる。体調が悪いとき、あるいは家庭で用事があるときなど、個人の裁量で自由に退社・欠勤することができる。さらに、スキルのある労働者はより正当な報酬を受けることができる。それにより、自己啓発の促進につながっていくことも考えられる。もちろん、それらはスキルのある労働者に関してのこと。スキルの高くない労働者は長時間勤務を行うか、賃金の低下を余儀なくされる。

このように、批判の多いこの制度にも、内容や使い方によってはメリットが出ることもありえる。与党や経済界はこのメリットをうまく使い、より国民の支持を得やすい内容を提案すればよいのだが、なぜそれができないのか。それは、この制度に対して経済界からの変な期待があるからである。以前のブログにも書いたが、この制度は「賃金抑制」、「国際競争力強化」など、労働者の立場からではなく、企業・国の立場からの期待が強いのだ。少子化対策なんて間違いなく後付け。あくまで労働者のことを考えた法案ならこちらも考える余地があるのだが、導入に対する考えが企業・国の視点である以上、どうしても内容が企業・国寄りに偏ってしまう。これでは労働者が簡単に首を縦に振ることはないだろう。

■少子化に対する影響は
安倍首相は年始、この制度について次のような意見を述べた。「(ホワイトカラー・エグゼンプションによって増えることになる)家で過ごす時間は、例えば少子化(対策)にとっても必要。ワーク・ライフ・バランス(仕事と生活の調和)を見直していくべきだ」。要約すると、安倍首相はこの制度が少子化対策のひとつになると考えているようだ。

もちろん、中には労働時間の短縮につながり、少子化対策に貢献する事例も出てくるのかもしれないが、これはあまりにも労働の現状を知らなさすぎる発言である。日本は世界で一番働いている国であり、週50時間以上働いている労働者の割合は28%とダントツで世界一。過労死の危険ラインと言われる月80時間以上の残業を行っているのは若手男性社員の4人に1人。サービス残業なんて当たり前の世の中だ。そんな中、残業代を支払っている企業ももちろんあるのだが、その企業もできるだけ残業代を払いたくないから「効率的に業務を行って早く帰れ」という態度をとる。その態度が、残業代ゼロになると「なんぼでも働いてもらって構わんよ」というものに変わる。それが労働時間の長時間化を引き起こし、労働者の健康状態を悪化させる。さらには成果主義によって、賃金の格差が大きくなってしまう。あくまで一例ではあるが、このような状況を引き起こすことだってある。

このようなワークライフバランスの崩壊によって、言ってみればこの制度は逆に少子化を引き起こす原因にもなりかねないのだ。一国の首相なら、もう少し様々な状況、メリット・デメリットを考えた上での慎重な発言をしてほしい。

■労働関連法案をめぐる今後の動きに注意が必要
このホワイトカラー・エグゼンプションは、労働側が求める残業代の割増率アップ、最低賃金法の底上げを図る法案とセットで国会に提出する予定だった。この2つは労働界からの要望で、ホワイトカラー・エグゼンプションは経済界からの要望。これらを“セット売り”することによって、「痛み分け」のような形で労使に納得してもらおうという考えだったのだ。各法案一つひとつに目を向けさせず、セットで考えてもらおうなんて、ちょっと考え方が甘いのではないか。

ホワイトカラー・エグゼンプションが、少なくとも1月からの通常国会へ提出されないことはほぼ間違いなくなったが、“セット売り”だったはずの他の労働関連法案は国会に提出される動きだ。これは労働側としては喜ぶべき状況に見えるが、実際は喜んでもいられない。これにより、経済界は政府・与党に多大なる圧力をかけてくるだろう。今回の国会提出見送りも、あくまで参院選への影響を恐れただけのことであって、法案自体は死んでいない。経済界を敵に回さないためにも、厚労省は秋の臨時国会以降に狙いを定め、法案提出に向けて全力で動いてくる。「高度専門職年俸制」などという、わけのわからん名前に惑わされてはいけない。この制度で苦しむことになるのは、あなたかもしれないのだから。
  

2007-01.12 Fri勝手に映画批評13[映画]

Time[14:34] Comment[2] Trackback[7]
【フラガール】 9点
評判が良いのは知っていましたが、ここまでの映画とは思わなかった。ひとつひとつのシーンに感情がこもっているというか、映画から放たれるパワーのようなものが伝わってきて、随所に感動する部分がありました。蒼井優、松雪泰子、富司純子と、メインをはる女性3人の演技がそれぞれすばらしかった。特に富司純子。娘を反対する親心と、応援する親心の微妙な心理状況を、絶妙な演技で魅せていたと思います。蒼井優の親友から届けられた郵便物を渡しに行くシーンと、ストーブを集めるシーンの演技はお見事でした。

実話を元にした映画だということを映画の最後まで伝えなかったところは良いですね。実話を元にした映画は、たまに映画の最初で「この話しは実話です」的なことを伝えてくるんですが、これはあまり好きじゃないです。なんか、「ストーリーがあんまりおもしろくなくても、実話を映画化してるだけやから許してな」って言ってるみたいで、なんか映画に対する自信のなさを感じてしまうんです。・・・考えすぎ?

昭和40年代の炭鉱の街の完成度もかなりのもの。CGとかを駆使して表現してるんでしょうけど、違和感がまったくなかったです。まあ、僕は昭和40年代の炭鉱には行ったことないんですが・・・。あと、この手の映画の醍醐味はやっぱりダンスのシーン。練習風景で断片的にダンスを観ることはできたんですが、一連のダンスシーンをきちんと観ることは終盤までできず、「あれ、このままダンスのシーンがちゃんと観れずに終わってまうんかな?」って思ってました。でも、最後の最後にドッサリとダンスを披露するシーンを用意してあり、満足度アップ。なんかライブを見てるような気分になれて、なかなか気持ちよかった。

シンプルなストーリーではあるけど、映画から伝わってくる想いのようなものを感じました。良い意味で「古いものに固執せず、新しい時代を受け入れよう」みたいなもの。主人公の蒼井優がそれをガンガンに伝えてくれました。彼女の存在感はなんか独特。「生きてる」臭いがするっていうか、何というか・・・。あと、松雪泰子の正体が少ししか解らないようにしているところとか、コミカルな部分とシリアスな部分のバランス具合とかもかなり好きな感じ。むかし観に行った「チアーズ!」って映画を思い出しました。パクリ疑惑の箇所もいくつかありますが、あんまよく分からないので気にしない。楽しく泣ける映画って感じで、ナイスな作品ですわ。


【犬神家の一族】 5点
30年前のオリジナルは観ていないんですが、オリジナルを観た人は揃って「あまり良くない」と言ってますね。まあ、リメイクってそんなもん。観た人はどうしてもオリジナルと比べる意識になってしまうんでしょう。大作であればあるほど、その意識は大きくなるもんやと思います。

個人的な印象で言うと、「なかなかおもしろい2時間ドラマ」。ストーリーが良い意味で単純で、多少の謎解き要素もあり、それなりに楽しく観られます。雰囲気もあるし。ただ、改めてリメイクするほどのモンなんですかね?って思う。オリジナルとほぼ同じストーリーで、監督も同じで、ただ単にキャストを変えただけみたいな感じ。「30年も経ったから、同じストーリーでも新鮮な感じがするやろ?」的な発想なんでしょうか。金田一耕助をむりやり60歳過ぎの石坂浩二に演じさせるのも変な“狙い”を感じるし、リメイクにしてはちょっと中途半端かなあ。ちなみに、松嶋菜々子は特に悪くなかった。島田陽子と比べるとダメっていう意見もあるけど、島田陽子バージョンを観てないから知らん。

犬神家の3姉妹の演技はさすが。風格がありました。打って変わって、深田恭子の演技、なんやアレ!?演劇部の中学生の方がまだマシちゃうか?まあ、逆にそれがオモロかったけどね。あと、犯人とラストシーンがすぐに予想できてちょっと寂しかった。30年前の映画の完全コピーやから、ある程度はやっぱ仕方ないんですかね。


【日常】 8点
大阪吉本興業の芸人が総出演する映画。各々がいろんな立場で日常生活を送り、ただ単にその姿を映し出していくという内容で、特にストーリーっちゅうもんはなく、映し出す芸人を数分ごとに変え、日常風景を無機質に映し出すというパターン。特に気合いを入れて観る必要もなく、いろいろ考えごとをしながら大阪の街を眺めることができます。

大阪に限ったことじゃないんですが、世の中にはいろんな人がいて、それぞれに人生があり、それぞれに悩みがあり、楽しむ姿がある。そんなことを考えながらボーっと観てしまうところに心地よさがありました。主役であるケンドーコバヤシと次長課長の井上の「仮面ドライバー」っていう路上ライブデュオの、中途半端なウマさと手作り感たっぷりの曲が、日常生活のリアルさをうまいこと味付けしています。特に好きだったのは南海キャンディーズのしずちゃんとブラックマヨネーズ吉田のシーン。お金がからんだ会話なので変に緊張感があり、しずちゃんのノロノロした話し方と相まって妙な空気を生んでいた。

これを観て思うのは、やっぱ芸人は普段コントやら漫才やらをしているので、演技が上手やってこと。友近とかサバンナ高橋なんて、日常に溶け込みすぎて気持ち悪いくらいでした。芸人はある意味「なりきる」っていうことでメシを食っているんで、中途半端なタレント俳優より演技力は上でしょ。絶対。

バッファロー吾郎の木村と、ブラックマヨネーズの小杉の髪の毛がフサフサすぎて笑えた。ちなみに今年の2月には続編の『日常 恋の声』が公開されるので、要チェックやで。


【鉄コン筋クリート】 7点
言ってみればちょっと“不思議”系の映画っていうか、独特の世界観がプンプン漂っていて、受けつけない人もけっこういると思います。でも伝わってくる感情はけっこう意外にストレートなもので、後半のクロとシロの感情が表現される部分なんて、意味不明っぽいように見えるけどある意味わかりやすかった。人間の奥底に秘められた感情や、必要なものを失ったときの感情のバランス、そんなものがなかなか素直に表現されてたように思える。心の闇の部分も大きく打ち出していたけど、なんかポジティブに世の中のことを考えられる映画だった。

それにしても、このアニメーション技術はすごい。あの幻想的な世界が実際に存在してるかのようだった。色遣いもなかなかのもので、クロとシロの深層心理・精神世界と、映画の中の現実世界との壁をうまく壊し、絶妙に絡めて映像として表現していました。すこしジブリのアニメに通ずるものがありますね。蒼井優と二宮和也の声優っぷりもなかなかのもの。特に蒼井優なんて、「どれだけ才能を見せつければ気が済むねん!」って思うくらい、ハマってて良かった。ちなみに、僕は原作をまったく知らないんですが。

人間って、いろんなものとバランスを取りながら生きていて、そのバランスって自分が思う以上に重要なんですよね。たかがアニメ、されどアニメ。そんなことを考えさせられて、いい後味がした映画でした。